
概要
| 名称 | トーラス 85 |
|---|---|
| メーカー | トーラス |
| 系列 | Taurus Revolver系 |
| 口径 | .38口径 |
| 種類 | 回転式拳銃 |
| 作動方式 | 手動 |
| 発射方式 | DA/SA |
| 原産国 | ブラジル |
| 登場年 | 1980年 |
| 使用弾薬 | .38 スペシャル |
| 全長 | 165mm |
| 銃身長 | 51mm |
| 重量 | 0.6kg |
| 有効射程 | 20m |
| 後継 | Taurus 856 |
特徴
トーラス Model 85は、小柄なフレームと2 inchまたは3 inchの短いバレルを備えた38スペシャル弾用リボルバーで、米国では主にコンシールド・キャリー(隠し持ち)と個人防衛用途向けに販売されている。内蔵のトランスファーバー・セーフティや、1997年以降のモデルに搭載される鍵式セキュリティ機構(Taurus Security System)により、ハンマーをフレーム内に回転させず固定して銃を実質的に無効化できる設計が特徴となる。この機構は必要に応じて分解・組み立てを制限し、不審な使用や子供による誤発を防ぐことを目的としている。
歴史
トーラス Model 85はブラジルのトーラス社が開発した小型リボルバーで、スミス&ウェッソン社製の小型リボルバーデザインから影響を受けつつ、内部構造を独自に変更することでコストを抑えた民間向け防衛用銃として位置づけられた。公開情報では、米国市場を中心に一般市民の個人防衛用として長く販売され、安価で扱いやすい銃として米国内外のコンパクトリボルバーの中で一定のシェアを獲得したとされている。新加坡警察(Singapore Police Force)では一時期、3 inchバレルのModel 85が警官用標準拳銃として配備され、2002年ごろに導入・展開された後、より近代的なセミオート式拳銃への移行に伴って段階的に更新され、現在は補助部隊や補助用途に限定されているとされている。
構造
トーラス Model 85はシングル・アクション/ダブル・アクション共用の作動方式を持つ6連装シリンダーを備え、バレル長は2 inchまたは3 inchのいずれかが設定されており、軽量フレームと短いバレルによりコンシールド・キャリーに適した外観を保っている。フレームは鋼製やステンレス鋼製のほか、一部モデルではポリマーやアルミニウム・チタン混合の「Ultralite」構成が用いられ、総重量を軽減しつつ38スペシャル弾を安全に発射できる強度を確保している。ハンマーは露出型、短縮された「ボブド・ハンマー」、またはバレル下部にシルダーが付いた「シルダード・ハンマー」など複数の構成があり、マス・アドイブやライセンス制限の厳しい地域での取り扱い性を考慮したバリエーションが用意されている。
運用と実戦運用
民間市場では、小柄な手やコンパクトな体型を持つユーザーを含む、都市部の個人防衛・自宅警備用途での使用が中心で、比較的軽量な操作と38スペシャル弾の相互互換性が評価されている。実弾試験では、ギャップの隙間やシリンダー隙間の密閉性がやや劣るモデルも存在し、ハイプレッシャー(+P)の38スペシャル弾を用いた場合に鉛弾が「草原犬」現象(衝撃で前方に突出し、シリンダー回転を妨げる)を起こす例が報告されている。一方、同じモデルを入れ替えたユーザーの中にはそのような問題が再現されなかったケースもあり、材質や製造ロットの違い、銃のセッティングや使用弾薬の組み合わせによって挙動が異なる可能性が示されている。
派生型
トーラス Model 85の派生として、シリンダー容量を1発増やした6発装弾のModel 856が設定されており、基本的なフレーム構造や口径は維持しつつ、より高い連続発射能力を求めるユーザー向けに設計されている。Model 856にはステンレス製の「Executive Grade」仕様が存在し、3 inchバレルと一体加工されたバレル・アンダー・ラグを特徴としており、外観上もより高級感を強調した構成となっている。さらに、2014年に発表されたView仕様(85VTA)は、1.41 inchという極めて短いバレルとアルミニウムフレーム、チタン製シリンダー、透明ポリカーボネート側板を用いた超軽量コンセプトモデルであり、空装で約9.5オンス(約270 g)と、一般の小型リボルバーよりも大幅に軽量な仕様を実現しているが、標準圧力の38スペシャル弾にのみ対応し、商業的に不十分な評価と市場反応を受けて2014年12月に生産中止となったとされている。
参考情報
View(85VTA)はサイドプレートを透明樹脂で構成した視認性重視のモデルであり、後にサイドプレートをアルミニウム製にしたいわゆる「No View」仕様が2015年に導入された。これらの透明・樹脂プレートモデルは、内部構造を目視確認できる点が売りである一方、耐久性や装備・分解の利便性に関して賛否が分かれており、実務的なポケット・キャリー用途には不向きと見なす意見も存在する。トーラスの小型リボルバー群は、スミス&ウェッソンと類似した外観ながら内部構造を独自化しているため、カスタムパーツやチューニング用の部品交換が高価または限定的になりやすく、整備業者やカスタムショップの選択肢が限定される点に注意が必要とされている。
